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10月からふるさと納税の制度改正があったみたいだけど何が変わったの?
今回の制度改正で自治体やみなさんに影響する内容を分かりやすく解説します。
ふるさと納税は、地域経済の活性化に大きな役割を果たしてきましたが、制度が始まって以降、いくつかの課題も浮き彫りになってきました。
そして、今回の2024年10月の改正は、これまでの見直しの延長線上にあると言えます。具体的な改正内容は、制度の透明性を高め、公平性を確保するためのものが中心となっています。
総務省:ふるさと納税の指定基準の見直し
制度改正の背景
制度改正にいたった要因は特に、過剰な返礼品の提供や、寄付金を集めるために競争が過熱し、制度の公平性や本来の目的に疑問を投げかける声があがったことにあります。
その結果、政府はふるさと納税の適切な運用を図るため、これまでにもいくつかの改正を行ってきました。
制度改正の内容
今回主な改正があったポイントについて下記にまとめました。
募集適正基準の改正
この改正は、寄付金を募るにあたっての基準を改正したものとなります。
具体的には、以下のような措置が取られています。
ポイント付与の廃止(2025年10月改正予定)
ポータルサイトを通じてふるさと納税を行った際に、通常のネットショッピングと同様に寄付者に対してポイントを付与する仕組みが多くのポータルサイトで導入されました。このポイントは返礼品を選ぶ際に利用できることが多く、寄付者にとって魅力的な特典として機能しました。
しかしながら総務省は、このポイント付与の仕組みがなくなることにより、ポイント付与の原資として自治体が負担しているサイト掲載手数料の負担が軽減し、自治体が使えるお金が増えると予測され告知となりました。
さらに、ポイント付与が事実上、返礼品の代わりとなる金銭的利益を提供していると考えられることから、制度本来の目的に照らし、これを認めるべきではないという結論に至りました。
宣伝広告の規制強化
ふるさと納税の宣伝広告では、返礼品に強く焦点を当てた宣伝広告を多く行うようになりました。特に、寄付を呼びかける広告の中で、寄付をすること自体よりも、返礼品の豪華さやお得感を前面に押し出すケースが目立ってきました。
例えば、【お得】【コスパ最強】【セール】といった文言で寄付者を惹きつける広告が多く見られました。このような広告は、寄付者が地域に対する応援の気持ちよりも、返礼品の価値を基準にして寄付先を選ぶように誘導してしまう懸念がありました。
このような宣伝手法は、ふるさと納税の健全な運営を損ねると問題視され規制される運びとなりました。
告示では、【広告宣伝】と【情報提供】が定義されております。
広告宣伝 | 情報提供 | |
概要 | 特定の自治体を周知すること | 不特定多数の自治体を周知すること |
具体例 | テレビ 新聞 メルマガ 特集ページ SNS公式アカウント | ポータルサイトの検索連動型広告 ポータルサイトの人気ランキング |
規制事項 | 返礼品等を強調した 寄付者を誘因するための宣伝広告 | 寄付者による適切な寄付先の選択を 阻害するような表現を用いた情報提供 |
判断基準 | 1.返礼品等の情報が広告の半分以下であること 2.寄付先の選択を阻害するような表現を 用いていないこと | 【お得】【コスパ最強】【セール】等の表現を用いていないこ |
地場産品基準の改正
2023年の改正につづき、2024年も返礼品を取扱う基準の改正が行われております。
地場産品基準について北海道鶴居村のふるさと納税特設サイトが、とても分かりやすくまとめられています。
具体的には、地場産品基準第7号※について以下のような措置が取られています。
※地場産品基準第7号:宿泊券や食事券、体験型返礼品などを取扱うための基準
2023年10月の制度改正において、返礼品は寄付を受け入れる自治体と関連性のある『都道府県内産』に限定するという新たな指針が示されました。 宿泊施設に関する取り扱いも、この方向性沿ったものだと推測されます。
サービスの提供地域に関する規定の強化
地場産品として提供できるサービス(宿泊券や体験型返礼品など)は、その自治体に関連するものに限定されることが厳格化されました。
これにより、全国チェーンのホテルやサービスが「地場産品」として提供されることが制限され、地域に根ざした施設やサービスに焦点を当てるように求められます。
チェーン店の宿泊券に対する制限
特にチェーン店の宿泊券については、1泊あたり1人5万円以内という上限が新たに設定されました。
これにより、高額な宿泊サービスが寄付の目的となるのを防ぎ、地域経済に直接的に貢献しないサービスを返礼品として選定することが制限されました。
地場産品基準OK | 地場産品基準NG |
同一都道府県内でのみ運営している (フランチャイズ、チェーン店ではない) | フランチャイズ、チェーン店である ※災害被災地の特例あり |
同一都道府県内で運営しているフランチャイズ、チェーン店 (1人1泊5万円以内) | 同一都道府県内で運営しているフランチャイズ、チェーン店 (1人1泊5万円以上) ※災害被災地の特例あり |
※災害救助法の指定を受けた自治体はフランチャイズ、チェーン店であっても、定められた期間内で取り扱いが可能となります。
自治体、寄付者(私たち)への影響
2024年10月のふるさと納税制度改正は、自治体と寄付者双方に重要な影響を与えることが考えられます。その影響を以下にまとめてみました。
自治体への影響
競争戦略の再考
マーケティングやプロモーションの見直し
これまで高額返礼品や豪華な宿泊券に依存していた自治体は、寄付者を惹きつけるための新しい戦略を構築する必要があります。返礼品の内容が厳格化されることで、地元の魅力やストーリーをいかにアピールするかが重要になります。
プロモーション活動において、これまで返礼品競争に依存していた自治体は、観光誘致や地域の特色を生かした長期的な戦略にシフトする必要が出てくるでしょう。
地元企業との協力体制の強化
地域産業の発展への貢献
返礼品が地場産品に限定されるため、自治体は地元の中小企業や生産者との連携をより強固にする必要があります。これにより、自治体が直接地域の経済活動に関与する形となり、地元産業の活性化が期待されます。
制度運営コストの増加
返礼品の管理と手続きの複雑化
改正に伴い、返礼品の選定や管理がより厳密に行われる必要があります。自治体は、地場産品かどうかを厳しく確認する作業や、返礼品の運営体制を整備する必要があり、事務手続きの負担が増加する可能性があります。
特に、返礼品の透明性や適合性を担保するためのシステム強化やスタッフの増員が求められることがあります。
寄付者(私たち)への影響
地域選びがより重要に
地域のストーリーに基づいた寄付
返礼品が豪華さに依存しなくなるため、寄付者は単に返礼品の価値でなく、地域そのものに惹かれて寄付を行うことが多くなります。
これにより、寄付者がどの地域を応援したいかという視点で選ぶようになり、地域の魅力や特色が寄付を集める大きな要因となるでしょう。寄付者がより地域に興味を持ち、その地域を応援する意義が高まります。
寄付の動機が変化
返礼品以外の価値が重視される
これまでは豪華な返礼品を目当てに寄付する傾向がありましたが、改正により返礼品の豪華さが抑制されることで、寄付者は地域貢献や社会貢献に価値を見出すことが求められます。
寄付者の中には、返礼品が目当てではなく、純粋に地域を応援したいという動機で寄付をするケースが増えるかもしれません。
制度改正を理解していれば今後もふるさと納税の恩恵を最大限うけることができますね。
まとめ
今回の改正は、ふるさと納税の本来の趣旨である地域貢献や地域振興を強化するために行われたものです。
自治体間の過度な競争を緩和し、地域の特性や魅力を高める形で寄付を集める方向に進むことが期待されます。
また、寄付者にとっても、返礼品競争から離れ、寄付そのものの意義をより深く理解し、社会貢献を実感する機会が増えるでしょう。
この改正は、ふるさと納税制度が持続可能で公平な形で運営されるための重要なステップであり、自治体や寄付者にとっても長期的にはメリットがあると考えられますが、適応には一定の時間と努力が求められるでしょう。
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